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イタリア レッジョ・エミリア・アプローチに見る創造的な幼児教育

イタリア レッジョ・エミリア・アプローチに見る創造的な幼児教育

青空の下、2014年5月11日にレクチャー&シンポジウム「イタリア レッジョ・エミリア・アプローチに見る創造的な幼児教育」が開催されました。会場いっぱいのたくさんの方にお越しいただきました。

サポートスタッフの方々と準備中

サポートスタッフの方々と準備中

今回もたくさんの方々のお手伝いいただき、本番を迎えることができました。みなさま、どうもありがとうございました~!!!

東京都現代美術館教育プログラム

東京都現代美術館教育プログラム

東京都現代美術館教育普及係池尻豪介様より、現代美術館で行っている教育プログラムについてご説明いただきました。教育普及に力を入れている美術館はいくつかありますが、東京都現代美術館は早くから多様なアプローチでART教育普及につとめています。 参考リンク http://www.mot-art-museum.jp/edu/

東京都現代美術館常設展鑑賞

東京都現代美術館常設展鑑賞

東京都現代美術館の常設展を鑑賞します。ARTをよく知っている方はもちろん、あまりARTに触れる機会がない方でも楽しめるよう現代美術史を簡単にまとめたシートをお配りいたしました。

創造的な教育を求めて

創造的な教育を求めて

午後からは、シンポジウム&レクチャーです。最初に、佐藤学先生にレクチャーいただきました。 創造的な教育とは何か?という問いに対し、公立小学校1年で行われている「身体で描いてみよう」の実践例をご紹介いただきました。 生徒が黒板に水絵を下から上へ描く手法の創造活動はその作品に「美しい!」という感嘆の声が会場からあがります。佐藤先生は「たった1本の線が黒板を違う世界に変えている、こういったところにアートの本質がある。」とおっしゃいます。 そして、「アートはもうひとつの世界、もうひとつの真実、もうひとつの他者、もう一人の私に出会い、対話し、表現する技法。内的真実との出会い。創造力による世界の秘密の発見。アートは世界を表現するもうひとつの言語。もうひとつの言葉を豊かにすることが、子どもたちの創造力を豊かにすることに通じる。すべての子どもには潜在的な創造力がある」というお話をいただきました。

【実践事例1】オルト保育園

【実践事例1】オルト保育園

今回のシンポジウムは、レッジョ・エミリア・アプローチを取り入れた実践例をご紹介し、それをどのように現場で実践できるか、良いところを取り入れていけるかを学ぶのが大きな目的です。 新宿区にあるオルト保育園は、イタリアの建築家が設計した素敵な保育園です。 先駆的な活動をするオルト保育園の設立までの経緯や「日本の文化を大切に保育や教育をこれから構築していくのが貴方達の役目」ということをレッジョの方に言っていただいて励まされた、というエピソードをお話いただきました。

【実践事例1】対話する力 海の底プロジェクト

【実践事例1】対話する力 海の底プロジェクト

子どもたちに自分で考え話すことを促す「対話する力」を養う実践事例を紹介していただきました。この実践では、まず子どもに変化があり、その後先生が変わり、保護者が変わった、と戸塚先生。 また、プロジェクト活動が対話力を育てる具体例として『海の底プロジェクト』をお話いただきました。 『海の底プロジェクト』は子どもたち自身で海の底をつくってみよう、というアイディアから始まりました。海には様々なイメージがありますが、写真集からインスパイアされたイメージや、見たことがない「海の底」を想像しながら子どもたち主体でつくります。材料は廃材等を先生方で集めています。 そして、このプロジェクトには人間が捨てた廃材やごみに新たな命を吹き込み、生態系への新たな気付きとしてほしいという願いも含まれています。

オルト保育園の実践事例を受けて・・・

オルト保育園の実践事例を受けて・・・

総括として秋田喜代美先生にモデレーターになっていただき、佐藤学先生、オルト保育園研究員戸塚陽子先生、保育士山田寿江先生と共に意見交換の時間を設けました。 オルト保育園からご紹介していただいた実践事例の『海の底のプロジェクト』に似たものがレッジョでも行われている、という佐藤先生からのお話に戸塚先生、山田先生も「知らなかった」と驚き!しかし、秋田先生より「似ているようで似ていないプロジェクト。きれいな海をイメージしていた大人に対して、子どもたちはそこに惹かれず廃棄物を海に埋めて魚の棲みかとなっていたり、大人が持っているきれいなイメージではない現実の中の環境に出会うところが面白い」と鋭い見解をお話いただきました。また、このプロジェクトは地域の人も関わりを持っていて、ごみの分別に関すること等事前に保育園にお話をしていただいているそうです。ひとつのプロジェクトからいろいろな世界に広がりを持つところにアートを感じます。

【実践事例2】横浜インターナショナルスクール

【実践事例2】横浜インターナショナルスクール

横浜インターナショナルスクールは、横浜「港の見える丘公園」近くの素晴らしいロケーションにあるスクールです。 レッジョの哲学で「聴くこと」は大事だが、漢字の「聴」という文字は耳で「聴く」だけではなく、心で「感じる」という意味も含まれているので「Listen」ではなく、より深い意味を持つ「聴」という漢字を紹介しています、というお話からスタートしました。また、漢字に含まれる「十」や「目」が表すように十人異なる意見があってもひとつの意見にまとめること、そしてそれは自分の考えでもなく、貴方の考えでもなく、「新しい考え」をつくるよう促しているという非常に本質的な実践のご紹介をいただきました。

【実践事例2】How We Express Ourselves?

【実践事例2】How We Express Ourselves?

横浜インターナショナルスクールではコンセプトを重視するインターナショナルなカリキュラムフレームワークPYP(Primary Years Programme)を取り入れています。「われわれはどのように表現するのか?」というテーマで3歳から小学校まで通じて追究します。課題を形成するセントラルアイディアは年ごとに変わり、今年の3歳~4歳児は「ストーリーは、あらゆるアイディアで伝わっていく」をテーマに生徒と教師が対話を展開しています。

【実践事例2】What is a story?

【実践事例2】What is a story?

子どもたちが観劇したショーに感動し、「自分たちも新しいショーをつくろう!」という活動展開の中で、どのようなショーにしたいか、また、「ストーリーとは何か?」という質問を教師から投げかけ子どもたちと共に考えます。 「音楽はストーリーになるの?」と聞くと子どもたちは「No!」と答えました。大人たちにとってはストーリーとして捉える題材でも、子どもたちは違う意見を持っている場合があります。 カンチェーミ先生は、「子どもに何をさせるのかを考えるのではなく、子どもにどのような質問を投げかけるのかを常に考える」とおしゃっいます。

横浜インターナショナルスクール実践事例を受けて・・・

横浜インターナショナルスクール実践事例を受けて・・・

秋田先生と佐藤先生と共にまとめ。 「一見するとレッジョのアプローチとは違うように見えるがレッジョは児童文学からはじまり、物語を読んで演劇で表現する。元々のレッジョ・アプローチに通ずるものがある」また、「思考には記憶の再現である直接的思考と意味を構成する媒介的思考があり、媒介をつなぐことで新たな 創造性のきっかけとなる」と佐藤先生。 「子どもたちが沈黙する時間も、子どもたちは考えておりそういった時間も大切に考えている」とカンチェーミ先生。 また、実践事例として紹介されプロジェクト中の子どもたちが“自分たちの好きなものになる”活動をうけ、佐藤先生は「pretend to do という何者かになってみる、ということが自分を発見し、アイデンティティを考えるきっかけとなる。Who are you、Who am Iというのはとても大事」とおっしゃると、秋田先生が「凄い!実はインターナショナルスクールにはWho am I のカリキュラムが組み込まれているのです」とお話。そして、カンチェーミ先生は「それに加えてWho we areも追究します」と息のあったまとめのお話となりました。

パネルディスカッション

パネルディスカッション

いよいよ、パネルディスカッションです。パネルディスカッションでは、事前に参加者の皆様からうかがっていた質問事項、またレクチャーを受けての質問をパネリストのみなさんと共にディスカッションします。

パネリスト紹介 柴崎裕様

パネリスト紹介 柴崎裕様

多摩市立豊ヶ丘小学校小学校で図画工作専科教諭をしていらっしゃる柴崎裕様は子どもの創造力を引き出す様々なアプローチに熟知されているプロ中のプロです!ちなみに、図画工作専科の教諭がいるのは東京都のみです。東京都以外にも柴崎様のような優れた指導をされるアート専門の教諭がいらっしゃると世界が変わるかも・・・

パネリスト紹介 矢野晃平様

パネリスト紹介 矢野晃平様

矢野様は、普段は大企業の経営企画室にご勤務され、家庭では共働き世帯の2児の父として育児と仕事を両立しつつ、FRUIT PUNCH(親子・家族向けソーシャルコミュニティ)という新たな取り組みを始められています。意欲的な若い方の活動に注目です!

パネルディスカッション

パネルディスカッション

パネルディスカッションでは、参加者としてご来場していただいていたレッジョ・エミリアで学びオランダでもアトリエスタとして活躍していた伊藤史子様にもご意見を伺い、急遽パネリストとして参加していただくことになりました。伊藤様にはレッジョでの実際の経験から細かいご質問にもお答えいただきました。

会場からのご質問

会場からのご質問

レッジョ・アプローチに関する細かい質問から、本日のレクチャーに関することまで、できうる限り参加者の皆様からの質問にお答えするお時間を準備しました。学者、教育者、園長、保育士、アトリエスタ、小学校図画工作専科教諭、起業家、アートギャラリストなど様々な視点を持ったパネリストによる刺激的なディスカッションとなりました。

創造的な教育とは何か?

創造的な教育とは何か?

最後の総括として、佐藤学先生から「アートは異質なものをつきあわせ、新しい視点を構築していく。きっかけは日常にたくさんある。ひとつが変わっていくことで、世界が変わる。 アメリカ合衆国の哲学者、教育哲学者、ジョン・デューイは教育的な経験には①教育的な経験 ②反教育的な経験 ③非教育的な経験が3つあると言っているが、何がそれに当てはまっているか考える必要がある。そして、私の定義から言うと①教育的な経験は「創造性」 ②反教育的な経験は「創造性」を破壊する教育 ③非教育的な経験は「創造性」と無関係な教育である」という素晴らしいまとめのお言葉で今回のシンポジウム&レクチャーは閉幕いたしました。

終わり

終わり

約3時間のシンポジウム&レクチャーもあっという間・・・ご来場いただいた皆様、ありがとうございました!!!素晴らしい」時間を皆様と共有できましたこと、心より感謝御礼申し上げます。

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