2014年5月11日 ART鑑賞講座
あの日、あの時、同じものを観た人が、
何を思い、何を感じ、何を考えたか?
5月11日に開催したART鑑賞講座では、参加者の皆様に東京都現代美術館常設展を観覧していただきました。そして、
「この質問用紙は、正しい答えを求めるものではありません。アートとは何かを考えてもらうコミュニケーションツールです。
貴方の無限のアイディア、イメージを歓迎いたします。」
と書いた4つの質問が書かれた用紙をお渡しし、自由に書き込んでいただきました。
ここでは、その一部をご紹介いたします。
◆APR.8,1981シリーズ 河原温 《今日》(1966-)
【鑑賞ポイント】河原温のAPR.8,1981シリーズ「今日」(1966-)は、シンプルな年月日が、鑑賞者それぞれの想いを想起させる装置としてはたらきます。そして、日時を刻むことは作者自身の「生」の証を刻むことでもあります。
【質問1】下記を観て、貴方は何を思い起こしますか また、右に貴方の「今日」を創ってください。
copyright:子ども教育立国
◆思い起こしたこと
・世界があと2カ月で終わるのか(ノストラダムス) 【S・U】
・外国の看板【No Name】
・母の日→おっと見まちがい【H・H】
・海外生活2年目。ことば、環境に慣れ、どんどん活動範囲を広げ、とても楽しく生き生きとしていたことを 思い出しました。【K・K】
・spreadのアートプロジェクトの「Life Stripe」との違いについて 【M・T】
・15 未知なるものへの恐れ ※自分の年齢と2000年問題の騒ぎ 【M・K】
・
【S・T】
◆貴方の「今日」
・はじめての現代美術館を訪れた日 【H・T】
・お天気も良く、室内より外のほうが気持ちいい。少々熱いけれどこんな良い天気の日はありがたい。
気分も晴れます。【No Name】
・つづきがある限り考え続けなくては【S・U】
・仕事 家族まあまあな人生。しかし今後に漠とした不安あり。【Y・H】
・ 【No Name】 【Y・S】 【R・M】
◆《ヘアリボンの少女》 ロイ・リキテンスタイン 1965【鑑賞ポイント】コミック雑誌、大量出版された印刷物のイメージを拡大したコピー作品です。果たして、コピーや複数であるイメージが、芸術に成り得るのかという問いを立てます。
【質問2】この作品は、東京都現代美術館開館の時に購入され、大きな話題となりました。なぜ議論になったのでしょう?思いつくままお答えください。
・シルクスクリーンはアートなのか、デザインなのか、
デザインはアートなのか【R・O】
・他者の作品を拡大したものが、その作者の作品となりえないから【Y・S】
・いろいろな意見があっていいと思います。逆に議論になったことをネタにしているあたりがちょっと鼻につきますね。【G・S】
・グラビアって絵画だったんだ 味わいってなんだったの?癒されるというわけではないが元気にはなるかなァ~ モヤモヤは発生しない目が覚めた~
シャキ~ン 【H・H】
・一般的すぎて 雑誌の切り抜きみたいで目にとまらなかった どこにでもある様な絵柄で通り過ぎてしまいました 【M・Y】
・アートの役割が変化した美しいこと観て楽しめること→独創的で問題提起するものへ
かわいい少女の絵は観てここと良いかもしれないが、コピーであり独創性やメッセージ性はない。ただし、それを現代美術と定義することにはメッセージ性がある。よって賛否うずまいた。【H・T】
◆現代アートは「アート」とは何かという根本的な問いを含みます。貴方にとってアートとは何でしょうか?
【質問3】貴方がこれまでの体験で感じた「これはアートなのではなかろうか」というアート体験を教えてください。(複数回答可)
例) ぐうたらした近所の猫が宙返りをして見る目が変わった
例) カレーを煮込んだ鍋に張った灰汁が美しい形状をしていたので写真に収めた
例) 風景が突然変化した
例) 携帯が壊れた時に、身近に時計がない生活を送り、時間の流れの感じ方が変わった
・庭に水をまいた時にたまに虹
・ツマグロヒョウモン蟻が 幼虫―さなぎ―蝶へと育っていく様子【K・K】
・日本酒をすりきり入れた際、ふくらむお酒【M・Y】
・親子の距離感
・伊勢丹新宿店
・あらゆる形のあるもの
・親子の距離感 【M・K】
・スーパーマーケットでの商品陳列
・雨の日傘をさす人たちの群れ 【M・K】
・太陽が沈む夕方に、東から西までの空のグラデーションを見た時
・水族館でイソギンチャクが蛍光色で様々な色があった時
自然の中にすべての色があると思った。人間はきっと色を新しく生み出すことはできなくて、必ず地球上のどこかにその色は存在すると思った。 【S・T】
【質問4】何かを連想した、心がときめいた、美しいと思った等、貴方が今日の美術鑑賞で感じたことを教えてください
・この作品は何?何を表現しているの?→理解したい→?わからない→題名を見る→理解不能→あきらめ→好きかどうかで観る→だいたいが退屈→美術館から足が遠のく 子どもたちのように楽しく絵を観れる体験をしたかった・・・ 【No Name】
・見えない、見えていないものを感じること。物の記憶、物についた様々な跡に想いでをはせること 【M・N】
・山口勝弘Cの展示室の床の荷物を移動した跡がいく筋にもへこんでいて、人が動いた跡が感じられました。 【S・T】
・気になる作品や、引き込まれる作品があった時、なぜそれにひきこまれるのか不思議に感じた。【Y・S】
・作品として形に残すことはまさに作家がいうように、生きた痕跡である。また、鑑賞について「誰かと一緒に観る」ということによって「共感」を楽しみ、生まれるものがある。 【M・K】