指導者養成講座 はじまりました 1時限目2014年夏より指導者養成講座が始まりました。参加いただいた方は保育士、研究者、元園長先生、そのほか多様な職業の方々です。みなさん、とっても熱心でスタッフもいろいろと学ばせていただく思いです。。自己紹介もかねてちょっとしたワークを共有した後、講師の石井先生からレッジョ・エミリアについて写真や映像も含めてご紹介いただきます。 | レッジョ・アプローチの本質とは・・・講師の石井先生はレッジョに4年間滞在研究され、最新のレッジョ現地情報にも詳しい方です。十数年前レッジョ・アプローチを知り、「これだ!」と思いイタリアに何のつても無いにも関わらず現地に飛び込んだそうです・・・!参加者からのレッジョに関する細かい質問にも答えながら、レッジョ・アプローチについて学んでいきます。この「対話」すること、が実はワークの中でも重要な意味を果たします。 |
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まずは・・・手を動かしてみる!レッジョについてレクチャーを受けた後、講座のテーマのひとつである「色彩」のワークをはじめます。まずは、頭で考えず自分の手を動かすことから! | 作品をシェアそれぞれの作品を前に、作者の意見や他者の意見を共有します。自分の声や他者の声を「聴く」ことはワークの中でとても重要な役割を果たします。 |
音と色のワーク次に、音とワークの実践!参加者同士で考えながらすすめます。クリエイティブな指導者となるには、まず自分自身のクリエイティビティを刺激することから始まります! | ワークの様子あるテーマを元に、参加者とワークを通じて「対話」します。 |
1時限目
指導者養成講座 素材や空間と「対話」する 2時限目会場となっているMuseum at Tamada Projectsをワーク用に空間づくりしました。こういった「環境」づくりも非常に重要なのですが、建築的に最初からつくりこむのではなく、テンポラリーにつくることもできます。場所が持つ力は大事で、優れたギャラリー空間でのワークは作品づくりにも影響を与えます!優れた空間にインスパイアされ、クリエイティビティが刺激されました。 | 指導者養成講座2時限目2時限目は、1時限目の内容のふりかえりからはじまり、レッジョの巨大素材倉庫「レミダ」についてレクチャーを受けます。「レミダ」には、企業等から譲り受けた様々なマテリアルが保管されています。ワーク・ショップをする時に案外困るのが材料費や材料保管場所・・・。 レッジョ・エミリアには企業廃材→レミダ(市営施設)→レッジョのレミダは教育関係者のみ、年間パスを作って利用します。これぞ持続型社会!こういった自治体との連携/支援があるのは非常にうらやましいですね。 |
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素材ワークでも様々な素材を使用します。見たことあるものから見たことないもの、何かのパーツなど。改めて見ると面白い! | 秘密のワークシート石井さん特製のワーク・シートで素材の探究を進めます。どんな内容かはひみつ・・・ |
素材選びに夢中たくさんある素材の中からあるテーマを決めて素材を選びます。 | 素材を「知り」、自分を「知る」元々心理学も学んでいる石井先生が、「その素材を選んだのには人それぞれに意味があるんですよ」と石井さん。参加者から「へぇ」と感心する声が。素材という対象を、知り、考え、突き詰めることで自分を知ることになる不思議なワーク! |
作品紹介・・・海から流れ着いたような・・・ | 作品紹介・・・・なんか可愛い・・・ |
作品紹介・・・・・前からそこにいたような・・・ | 作品をシェア!自分の作品と他者の作品をみんなで共有します。他者に話すことで、さらに自分自身や素材に対しての認識が深まります。 |
作品紹介・・・自分の作品が、他者の作品の影響を受けながら「育って」いきます。 | 作品紹介・・・・ライトテーブルに作品を置いてみました! |
2時限目
指導者養成講座 うまれかわるとき 3、4時限目「レッジョ・エミリア・アプローチを知る」講座の最終日・・1、2時限目で体験したことを生かし、次なる自分を探す旅のはじまりです。 | 何気ないものを見立てる何気なく切ったものを、ワークに用います。この、「どこにでもある材料」を使う、というのもワークのポイント!ブルーノ・ムナーリ考案の子どもワークショップでは、色彩を使って同じような見立てのワークを行いますが、ここでは「形とライン」に意識を集中できるよう、黒のみでワークをするのがポイント、と石井先生。 |
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こんなにたくさんできましたワークを通じてたくさんの愉快ななかまたちがたくさん登場! | 相談しながら次のワークも、参加者同士で協同しながら造り出すワークです。グループでそれぞれのアイディアを共有し、練り上げ、作品化に向け話合います。 |
作品・・・の一部いろいろなイメージが広がります! | 作品・・・の一部どんなイメージが広がりますか? |
協同してつくること短時間でアイディアを出し、共有し、それを紡ぎだしてひとつの作品をつくるワークは「共有し、プロセスを大事にする」ことから生まれるもので、できあがってくる作品の良しあしを問うものではありません。しかし、にもかかわらず作品はとっても面白いものに仕上がり、驚きです! | イメージのたまごを育てる今までのワークの集大成として、自分で育てたいイメージを「たまご」に託します。 使う素材は1時限目に自分でつくった色彩のワークの作品と、あとは自分で考える! |
つくってます・・・たまごからいろいろと生まれるアイディア | つくってます・・・・・みなさん、真剣。みなさん自分の世界に没頭してます。 |
展示も自分で考えるこの作品に適した展示場所はどこなのか? 自分で考え、実践し、表現する! | うきたまご宙にうくたまご。 |
生まれる・・・ものすごいものが生まれそう・・・! | なるほど!こんなたまごもアリ! |
ひかりのなかのたまご何かに守られているようですね! | ここから生まれます絶妙なバランスの元、まさに生まれるかのようなたまご。 講座を通して学んだことは、ワークの内容もとても重要ですが、一番重要なのはそれを通じて「対話」することで、そして「対話」の中で生まれるもに対しどのようなことを波紋のように投げかけていけるか?だと思いました。 もちろん、ライトテーブルや素材等は様々な可能性を広げる重要なコンテンツですが、重要なのはそれをどのように生かし、考えるきっかけとするか、だと思います。今回の講座が、それぞれの参加者の方の「考える」きっかけと「創造する」ことのスイッチになり、それがどんどん増幅し、子どもたちにも還元されていくことを願います! |
3、4時限目
受講生のことば(一部抜粋)
■講座感想
・レッジョで大切にされていることや教育に対する哲学的なことを体系的に整理された形で伺うことができ、自分の今までの知識が整理された感じがした。
それと、アートを感じる空間での講座がとても新鮮で、あの場にいるだけでいろいろなことを忘れて集中できた。(N・K)
・表現活動で人が変わっていく、成長していくことは、言葉では伝達できません。また当然それはコミュニケーションを通して起こることなので、講演のような形でもなかなか経験しにくいものです。
今回の講座では、実際の表現活動とコミュニケーションがバランス良く取り入れられ、短い時間ながら密度の高い、とても貴重な経験をすることができました。
さらにこの貴重な経験をさせて頂いたことで、教育は経験の共有や経験の伝授と考えると、指導者自身が、この自分の中の変化や成長を実際に経験しなくては、それを他者に伝授することは難しいのではないかと実感しました。(S・Y)
・実践の向こうにある背景や、意図を聞くことができたのがよかった。その先の広がりを感じることが出来、今回はその入り口を垣間みたにすぎないこともわかり、更に興味がわいた。また、あるメソッドとは違い、子どもに接する大人ひとりひとりの感受性、考え方、生き方、ものの見方の成長によるところが大きいことがわかったのも大きな収穫だった。(A・H)
・石井先生の講座は大変面白く、次の自分の課題を見出せるすばらしい内容でした。ただ、中身が濃いぶんもう少し時間があったほうが、参加者同士で思考形成を促したり意見交流を深めていったりするプロセスが生まれやすいような気がしました。(Y・H)
・普段なかなか使わない感覚が発揮され自分の内から出る表現というのがどういうものか五感をフルに使って体験できた。(S・K)
・これからの自分の置かれた立ち場の中で、子どもたちにどのようにして関わるのか、自分と向き合う、自分らしさの発揮、発見を伝えていくことが大切なことだと今回の学びの中で感じました。表現の方法として、新たな感覚で、その中でも自己対話、コミュニケーション、といった力が求められていくことに気づかされ、驚きでありました。これからの、実践の中で子供たちからの学びを通じ、今回の研修が生き、さらなる確信になることを思うばかりです。(A・T)
・レッジョエミリア市全体での保育の取り組みの概要(レッジョ・ナラ、レミダ、レッジョチルドレン等のネットワーク)や幼少接続で抱えている問題などを知る事ができた。また、ワークッショップは実践者自身の感性や創造性を豊かにするもので、対話を通して、アートを作る過程と思いを知る事ができ、大変自分にとって刺激的な体験となった。(T・N)
■どのような指導者になりたいか?
・子どもたちの様子をよく見て、聞いて、子ども一人ひとりの興味あることに敏感に共感できる心を持った指導者になりたい。そして、そこから、その子の興味のある世界が広がって行くような、声をかけられるようになりたいです。(T・K)
・必然性をもって、表現活動の提案ができる指導者が理想です。
子どもであっても大人であっても、誰もが今この時を感じながら毎日を生きています。その中にありながら、それを提案する必然性が感じられたときに、いかに自然に手渡せるかが指導者の技量だと思います。
そのためには、表現者や表現者を取り巻く環境・状況に興味をもち、表現者をよく知る必要があります。表現者に可能な限り寄り添おうとする指導者が理想です。(S・Y)
・子どもたちの生活の延長から、題材を取り入れ、指導者自身が自由な発想を持ち、既成概念にとらわれない目で人の表出物を評価できる指導者になりたい。(S・K)
■アートによる教育はどのようなものが理想か
・表現教育の活動を通して、表現者自身が未来の自分に期待できるような経験を積み重ねられること。それは子どもに限らず、大人でも、さらにどんなに歳を重ねても必ず起こると信じたい。(S・Y)
・子どもが自分自身で感じ取り、考え、試行錯誤、安心して失敗のできる環境を提供できること。
それぞれが本来、持って生まれている体の羅針盤にそって、自分は何がおもしろいと感じるのか、好きだと感じるのか、深めていけること。それを許容できる時間と空間、欠かせないのは木々や川などの自然。(A・H)
■どのような学校(保育園、幼稚園含む)が理想か
・基本的なところで、子ども時代の教育を実践力の育ちが大切とするのか、子ども時代にしかできない子ども自身からの学びが大切と考えるのかで大きく違うのですが、今のところは子ども自身の学びという観点ではすすめられていないと思います。自身の学びのなかで探究、興味、発展があり、考える力や共同ができていくということをレッジョエミリアの実践が語っています。
日本の今ある教育の中に子ども自身からの学びが大切であるということを、親と教育者とで理解しながら子どもを見ていくことが大切だと思います。子どもの力、最大限引き出すために今できることを考えていきたいと思う。(A・T)